あ・はるふ・まんすりー・こめんと 1999年4月7日

 
  
日本一の巨大書店

 大阪市堂島に床面積日本一の書店ができたと各マスコミに一斉に報じられたら、やっぱり覗いてみたくなる。そんなわけで噂の淳久堂(ジュンク堂)へ出かけてみた。ちなみにこの店の創業者は「くどう・じゅん」氏とおっしゃるそうで、姓と名がひっくり返ったのは、親の反対で「くどう書店」とオーソドックスには名のれなかったからだとか、西洋風に気取ってみたのだとか、あてにならない情報が乱れ飛んでいます。
 しかし、それにしても、すごい人だかりだった。横歩きしても何度ぶつかったやら。あれだけ宣伝されると、物珍しさで来るんだろうね、僕もその一人だ。たしかに広いし、配架点数も多い。医学書みたいに普段関心のない分野では量に圧倒され、児童書コーナーはデパートの遊び場もどきで、女子トイレは長蛇の列。喫茶室を含め椅子は全部ふさがっており、しかたないので、窓に腰掛けてメモをとりました。だから、店内喫茶の味は知りません。そのわりにレジ・カウンターが混んでないのは、やっぱり景気のせいか。
 もっとも、ほとんど無人の場所もある。文芸評論の棚を眺めてたら、喋ってた女二人、急に「なんか誰も読まなそうなのばかりよねー」。話しこめるスペースが欲しかったんだろうな。
 二階の短歌俳句コーナーも、当然ながら、あるだけ感謝の状態でした。ちなみに、新書・選書は三階で、まもなく選書で出る僕の歌集が置かれるとすればどちらが適当だろうと、いらぬ気を回したりして。
 帰りは西洋茶館にてスコーンとヌワエリヤで一服。有名な店なのに何故かこれが始めて。つい近くのLONDON TEAに寄ってしまうからか。まあ、なんにせよ充実した一日でした。

 

 
  
漫画ファンは気が長い

 ついに美内すずえ「ガラスの仮面41巻」が発行されましたね。僕も遅まきながら読みました。
 これほど長期間中断しながら再開したストーリー漫画は僕の知る限り永井豪「凄ノ王」だけです。どちらも日本の神話世界に深入りしたせいもあるのでしょうか。もっとも「凄ノ王」はまた長い休眠状態に入っておりますが。
 「凄ノ王」は雑誌連載分はともかくコミック化されてるのに、「ガラスの仮面」はそれも出ないので、なおさら不思議だったのです。
 今回読んでみますと、ほとんど全面的に描き直されてますね。掲載原稿の内容はもううろ覚えなんですけど、おそらく当時の美内氏を強くとらえていた「ある民俗学者」の影が薄れ消化され、月影先生の告白にかわっているぶん、厳粛さも自然さも薄れたような。作品の肉付けとしてはまっとうなのでしょうが。亜弓も抽象性が薄れ存在感が一層リアルになってる。雑誌掲載分だけでコミックあと二冊分はあるはずだから続刊が待たれます。でも、いつになりますことやら。
 それにしても、漫画ファンも気が長くなったもんですね。十年ぐらい平気で待つんだから。タイガース・ファンにも匹敵する。ジャイアンツ・ファンもみならったらどうだい。


 

 
  
立ち読みの成果

 さて、あの日淳久堂で開いた本といえば、数冊きり。立ち読みと呼べるのは(座り読みは別にしたけど)、去年出た「国文学 短歌の謎」だけ。これまで気にも止めず、また実際の内容も、塚本邦雄氏のエッセイでさえ、「もう宮沢賢治や石川啄木に関する御説は何度も承りましたよ」が感想のすべてで、まあ初心者向け解説本ならそれでいいのかもしれないけれど。塚本氏なら企画しだいではもっと独創的な名文を書かれるでしょうに。もったいない。
 その中で目を惹いたのが、岡井隆氏の釋迢空論。斎藤茂吉ほか多くの歌人論に業績ある岡井氏も、これまで迢空短歌への発言には首を傾げる点が多々あり、水と油は、岡井氏と迢空なのか、それとも僕かと考えていたのですが、その相違が逆に興味深い指摘を生む場合もあるようです。なにより、真摯に取り組んでおられるのに、好感を持ちました。迢空の名を出すだけで顔を顰める輩がいまだにいますしね。

 
 

 
  
映画「東京日和」のカットシーン

 竹中直人「東京日和」をLDで鑑賞。劇場で見逃したので。
 アイドル時代の中山美穂はまるで知らないんですけど、好い映画に出てますね。「Love Letter」もよかったし。
 ところでこのLDには最後に没カット集(NG集ではない)が収められてるのですが、これがとてもいい。なんでこのシーンがカットされたのか、さっぱりわからないのが、ちらほら。上映時間の都合でしょうか。不思議です。でも、中島みゆきの撮り直しシーンはサービスだろな。みゆき信者はこれだけでLD買う価値あり。

 

 

 
  
川田順ふたたび

 歌人・川田順を描いた映画が近日上映と教えていただきました。歌集「東帰」の世界でしょうね。しかし、主演、三國連太郎? 川田順はいかにもインテリふうな面長でほっそりした方でしょう? 三國氏はふっくらした人のように覚えてますが。「復讐するは我にあり」のイメージが強すぎるのかな。「ビルマの竪琴」以来のファンなら、また違うのでしょう。でも、どうせモデルを無視するなら、吉永小百合の与謝野晶子ぐらい美化に徹して欲しい。あそこまでいけば、文句言うのもばかばかしい。まあ体型の相違は演技力でカバーされていることを願います。高峰秀子の林芙美子(放浪記)も似てなかったらしいから。観る前に何言っても始まらない。
 川田順といえば、東大法科出、実業界の重鎮、皇家和歌指南役、そして生涯最後の歌集が相聞(恋歌)ずらりと、僕の嗜好ではありませんが、それなりに立派な人生をおくられた方だと思います。もちろん、歌にも佳いのがあるし。
 さて、でも映画は・・・どうしようか、気が向いたら、観ます。

 

 
  
"ー"サンガ唯今独走中

 もはや春の恒例となりつつありますが、今年もJリーグのパープルサンガは連敗街道を独走。現在五連敗。これでまだ二部降格してないのだから、ある意味でたいしたもの。
 僕はチーム発足時、サンガくんTシャツを貰い、毎夏着てるから、なんとなく気にしてるのだけど、応援する気などまるで起きない試合ぶり。ある友達は"パープ−(Pa-Pu)"サンガと呼び、馬鹿にしきっている。フォローするのもアホらしいから、Tシャツ姿のまま、僕もパープーと呼んでいる。
 あのタイガースに声援をおくりつづける関西の人気ラジオDJ谷口キヨコ女史も自分の番組で「サンガはもう知らん」とおたけっておられましたが、それでもあきらめないサポーターもいるんでしょうねえ。彼等のために、せめてこの文章が更新するまでには連敗ストップを。

 

 
  新刊情報

 最新刊は、どうやら六月初旬には出版されるそうです。ひょっとしたら五月末にできるかも。こればかりは印刷所やら編集部やらの管轄で、作者にはどうにも見当がつきません。もうなんにもできることないんですから。表紙示されて、「ほおー」とか唸るぐらいのものです。

 付記:「日本一の巨大書店」については「あ・はるふ・まんすりー・こめんと 51」でも触れております。

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