心配ないさ
体調を崩し、連日寝てばかりではあるものの、夕食は吐いてでもとらねばと口に運びつつ、テレビをつけた。 ニュースは天皇在位十周年記念行事を延々写しだしていた。元XのYoshikiが演奏している。いずれロック・ミュージシャンが皇室行事に参加する日もあるかもしれないと僕が原稿用紙に書いてから一年も経っていない。驚きで開いた口がふさがらなかった。 大陸では日本のファッショ化と騒いでいないかと思ったけれど、しんどいので調べもできず、眠るばかり。世の右傾化は驚くほどだ。きっと書店の棚はそんなのが積み上がっているのだろう。行かなくてもわかる。 僕は眠りたいので、布団に潜り込み、自分を落ち着かせる理屈を考えていた。 大丈夫、右傾化はファッショ化とイコールではない。不安ではある。でも、心配するほどではない。 政治と社会と経済がそろって混乱しなければ、ファッショ政権はうまれない。金融不安は蔓延している。でもウォール街がパニックに陥らない限り大恐慌までは至るまい。不況は不況でしかないのだから。 新興宗教やテロリズムが流行っている。現代社会メカニズムではある程度やむをえまい。これから弾圧が強まるだろう。けれど、改革が進めば、おのずと治まるに違いない。改革が進めば。 少数者を排除する雰囲気が高まっている。でも、障害者施設が閉鎖されたという話は未だ聞かない。少数者が公的に放りだされ始めたら、ファッショ政権成立のパターンだ。でも、洋の東西を問わず外国人は市街を往来しているし、国際化の呼びかけは一応ともかく高い。偽善の臭気耐え難いほどに。 まして、右翼左翼とも活動が狂暴化しているなんて噂もない。 不安だけれど、心配ないさ。そう考えたら、ようやく眠りがやってきた。 少し快復してきたようだ。悪化するときは、たぶんあっという間なんだろうけれど。 どれほどデタラメな発想法でも当座の慰めになるなら役には立つ。でも、あまり真にうけないようにはしなくちゃね。
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