馬
競馬にはまったく興味がない僕だが、武豊騎手が日本ダービー三連覇を逃したことぐらいは知っている。ただし達成されていてもそれがどれほど大変なことかがわからなかっただろうというのが、素人たるゆえんであろう。 だから、数ある競馬漫画で一番気に入ってるのが、ゆうきまさみ「じゃじゃ馬グルーミン★UP」だったりする。これはあだち充が野球漫画を「タッチ」で青春漫画に変えたように、競馬で青春しているから、競馬を知らなくても(むしろ知らない方が初心者向きとして)おもしろく読めるわけ。 ところで。 塚本邦雄歌集を読んでいて「塚本氏は馬だな」とつくづく思った。それも光り輝く悍馬。あるいは、常に馬であろうとする意志とするべきか。馬を詠んだ歌には特に強くそれを感じる。たとえ客観的には暴れ馬や鈍馬にしか映らなくとも、塚本氏にはそれは自分の意志したところにほかならぬという確信があるのかもしれない。 吉田拓郎に「馬」という唄がある。高校生の時ラジオで聴いた。冗談としか思えないコミカルな馬で、漫画家・谷岡ヤスジの馬の先駆かもしれない。美しさのかけらもない変な馬だ。 どちらも例を示したいけど、無断引用は避けよう。 馬には手に負えないところがある。馬について語るだけなのに、僕の文章はもう喘いでいる。 僕は一度だけ本物の馬に腰掛けた。阿蘇の草千里で手綱を引いてもらいながら少しだけ辺りを一周しただけ。子供だましだが、本格的な乗馬などしたら命にかかわる。何事にせよ本当に打ち込めば命にかかわるのかもしれないが。僕は馬にはなれず、ただ振り落とされないよう馬にしがみつくぐらいが関の山かな。維新期の軍人・大村益次郎(村田蔵六)の乗馬姿を想像する。みっともないことことうえない。 それでも乗らねばならないのなら乗るだろう。暴走する上でちょこんと成りゆきを見つめているなどということになっても、それはそれでやむをえないと腹を括るしかない。 その覚悟をするには馬肉料理を食すのが良いのではと思うのだけど、なかなかその機会に恵まれないのが、残念。もう手遅れかもしれないけど、一度くらいそういう恩恵にあずかりたいな。
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