あ・はるふ・まんすりー・こめんと 2000年11月15日

 
  プロフェッショナルな生活

 プロスポーツ選手の生活を御存知ですか。サッカーでも野球でもなんでも結構。あるいは、五輪前のアマ選手でも良い。
 単行本、紙誌、テレビ番組、どれかで一度は御覧になったことがありませんか。
 それは驚くほどコントロールされた日常です。目標は人それぞれでしょうが、目的は試合で活躍し勝つこと。それだけのためにすべてを節制している。感心するか、あきれるか、どちらかしかない世界です。でも、本人は大真面目。笑っちゃいけません。
 しかし、これは実はありふれたことなんですね。俳優、演奏家、美術家、その他さまざまな職種の回想録等読んでいると、どんな分野にいようとたいして差は無いじゃないかとすら思えてきます。
 小説家なんかでも、執筆に必要と感じた人に近付き、不要ならさっさと別れたり。時にはその為に恋までする。だから離婚や不倫が多い。逆に最初から作家にふさわしいと思える条件を基に配偶者探し。気に入った環境と考える土地にあちこち移り住み、副職を始めたり止したり、大変です。そうでなければ、良い作品等できるはずもないのでしょう。

 

 
  歌人の場合

 ところで、詩歌句ももちろん芸術の一分野ですから、本当に優れた作品を続々産み出している方は、生活をコントロールする術にたけておられて、そういう姿を目にするたび僕は心から尊敬の念を抱くのですけど、スポーツの世界では嫌というほど強調されるこの生活を律する話が、また詩歌句壇ほど語られない世界も珍しいのじゃないでしょうか。
 あふれるほど本を読んで、紙束が崩れるほど創作に励み、駄作を乱発していらっしゃる人々に「君には才能がないよ」と師は言っても、「ちょっと生活を改めなよ、ディレッタントを止めて」とは大抵諭さないらしい。その結果、敗残者になり、恨まれるのも困るというわけでしょうか。
 でも、それじゃあ佳作なんてできるわけないでしょう。
 ただし、教え辛いというのも理由の一つとは思います。ある人は恋に執してすぐれた恋愛詩を生み、ある人は無事愛を成就してきっぱり執筆とは縁を切る。「恋愛」の部分に「定職」「転居」「勘当」他、何を入れても良いのですけど。他人からは見えにくい部分ではありますね。本人も勘違いしていて、相聞をいっぱい作り与え、「芸術の為には彼女を手に入れないと」と奮闘の結果、成功を治めた途端に筆が止まってしまうのはありうることです。間違えた当人が悪いのだし、案外それで幸せかもしれない。
 けど中にはたんに有名になりたいが為に進んで駄作を乱発している人もちらほら。
 僕は近年詩歌句で女性上位の風潮があったのは、そのへんがわかっている女性が世に出て、男はつまらない有名指向に取り付かれた奴ばかりが名を知られた結果だと感じています。

 

 
  But,

 しかし、ここまでの文章がどれほど正当であったとしても、あるむなしさは否定できませんねえ。
 それは僕がいわば「三宅惺」という個人経営の零細業主であり、最新製品の売り上げ不振で、常に赤字に悩まされているからです。困ったことです。
 ただ、不良品ばかりが出回る現状についてはどうこう言ってもしかたない。
 そのへんについては、良心的にやりすぎだよという忠告もありますが、佳い物を作ることで対抗する以外に方法はないでしょう。負けませんよ。

 

 
  てふてふひらひら

 今年引っ越してから、東京はどうですか、と幾度も尋ねられた。
 西多摩地方居住者の身で東京を語るのは、都内二十三区民の怒り、もしくは嘲笑をかうことは、容易に想像できるので、そのたびに言葉を濁している。でも、たとえば月など眺めると、種田山頭火の

  ほつと月がある東京に来てゐる

を想い出す。この辺りの高層建築でも山頭火の時代ならかなりのものだろうけど、現代のぼくの感覚では、

  ビルからビルへ東京は私はうごく

を想うには、新宿くらいにならないと駄目。

  てふてふひらひらいらかをこえた

 奈良に住んでた頃は、この句がしばしば浮かんだ。山頭火がこの句を作ったのは本当は山口県なのだけど。山口県では、おそらく口ずさまないだろう。
 山頭火はのびやかだ。

  どうしやうもないわたしが歩いてゐる

普通「どうしやうもないわたし」ときたら、ふさぎこんだ姿しか浮かばないのに、あっさり「歩いてゐる」で、ちっとも落ち込んでない。ふてぶてしくさえある。
 句集はいくらもあるけど、全句集を見かけないまま、まだ購入していない。
 こういうのが多いから蔵書が増えないんだな。

 

 
  リクエストありますか

 最近急激にアクセスが伸びてきました。ありがとうございます。
 それで原則一月掲載にしている「今月の作品」の過去ログを見逃した人がかなりいらっしゃるでしょうから、もしリクエストがある程度あれば一度くらい再掲載してみようと思います。「今月の作品」の末文から「更新情報」のページへ行きお好きな希望作品を選び、御意見・御感想欄に書き送信してください。
 なければ、もちろん企画倒れ。原稿がある物は、邪魔だからフロッピーの記録も削除してしまいましょう。

 

 
  近況

 BBSで遊びすぎると指摘されたので、控えているうちにメーリングリストにはまってしまいました。ほとんど何も考えず、チャットほどではないにせよぽんぽん言葉を投げつけてしまうのは、ラップ流行りの世相に合っているのかもしれないけど、やっぱり気を付けた方が良いなあと感じながら楽しんでおります。
 新しい生活を始めて半年が過ぎました。
 ここはとても寒いです。僕はここで凍えてゆきます。きっと。はっくしょん。

 

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