あ・はるふ・まんすりー・こめんと 2001年3月7日

 
  青色申告

 確定申告を終えました。
 今の生活に入り、一番煩わしい思いをさせられているのがこれです。サラリーマンなら専任部署が全部やってくれるんだよね。うらやましい。
 「文筆業者殊に詩歌人にとって、所得税確定申告事務は、まさに拷問苦役に等しい」とは歌人・塚本邦雄氏の言葉ですが、こんな文を引くと、「辛いのはおまえらだけじゃねえや」と思わぬ所からまた石が飛んで来そうです。
 さて、去年保管しておいた領収書等を計算して、いざ税務署へ。ここまでで既に「運筆以外のデスクワークはまっぴら御免」の僕は、数日の計算地獄に精魂を使い果たしております。それでも早朝出かける訳です。いや、早朝と云っても、国民の大多数はとっくに仕事を始めてるであろう時間。すみません、起きるのが遅いもので。
 斎藤茂吉なら、税務署へ届けに行かむ道すがら馬にでも逢うのでしょうが、僕は馬ずらすら見かけません。書き上げた書類を提出した職員はなかなかの美女でした。けど、掃き溜めの鶴ゆえ、そう映っただけかも。
 去年引っ越したので、まず納税地の異動を届け出ます。一応法律的には、五年前より個人事業を行なっている身ですが、他所に事務所などないので、このマンションの一室が勤務地。開業届(!)を提出の折「事業は何を」と問われ、弱ってしまい、こちらの収入状況を逐一具体的に述べると、
 「それなら著述業だね」
 以後、役所にはそれで通していますが、そんなの他では使えないよ。チョジュツギョウ。舌噛みそうだ。
 そして、青色申告用紙やら申告決算書やら収支内訳書やらその付表(職種別)に書き込むのです。今回は二時間も税務署にいましたよ。書くことなんてほとんどないのだけど、間違えないようきっちりやってたら、こうなる。ふう。疲れる。

  申告を終えても青い ましてその終える前なら その顔は ああ

 たった今、即興に詠みました。駄歌ですが。青色申告ってそういう意味じゃないのか、実は。
 とにかく何度してもきっちり理解できないのが申告手続なので、毎年しかるべく日に行き、署員を質問攻めにするのですが、ここは長机に座り、そばの人を呼び止める方式でした。前は個別指導で一人の署員が一から十まで説明してくれたのですけど、これだと必然的に待ち時間が長い。その点、今回は待つ必要はなかった代わり、なかなか署員を捕まえられない。中には、一人で幾つ尋ねるつもりだ、と不満を起こさせる納税者もいらっしゃいます。まったく。それでますますこちらは捗らなくなるんですよ。
 最初ここで驚いたのは、女性の姿が多いことで、どうしてか僕の左右数人はいつも女性でした。いくら女性の社会進出の場が増えているとはいえ、まだまだOL等が中心、申告に自ら来なければいけない人がこれほどいるのは、たんに男は質問もせず自分でさっと書いて提出するだけだからだろうか、と自虐に走りそうになった時、隣で質問する声が耳に。
 「申告者はどなたですか」
 「夫です」
 そうか。男は今頃家業に精を出していて、妻達が代理を務めてるのか、と納得。しかし、前の町ではやっぱり男達が来ていたような。それほどここでは生存競争が厳しいのか。いや、これもやはり女性達の自信の現われなんでしょう。こんなことぐらい自分にもできると。すると、早く税理士を雇えるような身になりたいと嘆いている僕は何なのでしょうね。事務作業は駄目な人なんです。そういう人もいるんです。はあ…。
 ところで現首相の脱税疑惑はどうなったのかな。内閣不信任案等とか早期退陣とかの話ばかりで一向にそちらの方は聞こえてこないけど、こういう日はそうしたことが、より気になるね、とっても。

 

 
  百草園にて

 じつは確定申告の事なんかすっかり忘れてたのですけど、どうしてだか日野市の百草園で梅を探っていたら、ふと想い出したのです。
 園内には数々の樹木が生い茂っていたけど、この季節の主役はやっぱり梅で、見はらし台から展望した眺めは紅白なかなか壮観でした。
 また、ここは若山牧水ゆかりの地で、歌碑もあります。

  摘みてはすて摘みてはすてし野のはなの我等があとにとほく續きぬ
  小鳥よりさらに身かろくうつくしく哀しく春の木の間ゆく君

 今ここで「摘みては捨て」なんてしたら大事(おおごと)。僕等は自然に対する時、明治人より礼儀正しくせねばならないのです。その代わり、他人に対しては、明治の方がはるかに堅苦しかったんでしょうね。
 傍で、歌碑の前に〈これは失恋に終わり〉うんぬんとある案内板を読んでいた女の子三人、
 「このひとさあ、熱烈すぎて相手がひいちゃったんじゃないの」
 「うんうん、うざったそう」
 事実はそんなロマンチックな恋じゃないんだけどと内心クスクス笑いながら、でもそう言いたい気持もわからなくはないなあ、とは思う。たしかに今こんな歌を示されたら、まだ本当の恋と男を知らない女性は感動するより先に引いちゃうかもしれない。第三者的に一歩下がれば、素直に佳い歌と感じられるんだろうけど。
 ひょっとして、こういうのをおもしろがれるのは、これからはむしろ同性の男の方なのだろうか。それもなんか、うざったいな。
 いずれにせよ、こういうリリカルな言葉が愛されないのは、寂しい。とても。

 

 
  日本一の巨大書店は

 何故か高アクセスを続けている一昨年書いた「日本一の巨大書店」についてのレポートですが、時は流れ、日本一の座は、同じジュンク堂書店でも、大阪堂島支店から東京池袋支店に移ったそうです。
 ここもそのうち訪ねましょう。
 しかし、あの情報がもう古びてしまうとは、時間は本当に恐い。こわい。

 

 
 お騒がせしてます

 それにしても、このHPはそのアクセス数に比して、応援してくれている人が多いと思います。リンクを張ってくれたり、よそのサイトに更新情報を流してくれたり。中にはこちらがそこで顰蹙を買ってないかと冷や冷やするほど。誰に頼まれた訳じゃないのに進んでこうした人が現われると云うことだけでも、このHPには充分続ける理由があるのでしょう。がんばらねば。
 しかし、今年はすっかりお騒がせ魔になってしまっているようで、何故こんなことが今頃この場所でと首を傾げるようなことが、しばしば。このHPのアクセス数もそれに呼応して、ものすごいアップダウンを繰り返してます。もちろんネタを提供しているのはこちらの不徳でしょうが、なにより、途惑っているというのが正直なところです。

 

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