あ・はるふ・まんすりー・こめんと 2001年4月9日

 
  ランボーになりたかった

 ときどき古本屋巡りをする。
 最近は出版点数も増えてずいぶん本が手に入れ易くなったでしょう、とは某出版社社長のセリフ。でも、それは取次の手元や出版社の書庫にあるという話で、肝心の本屋には僕が欲しい本などちっとも売ってやしない。注文しても、書店からはそれきり半年も連絡がなかったりする。結局、在庫の少ないネット販売に頼るか、古本屋に行くしかないのだ。
 そして先日、遅まきながら粟津則雄訳『ランボオ全詩・改訳新装版』ほか、小説や評論集を手に入れた。はじめて僕が著書を出版したおり、まっさきに私信を一筆いただいた粟津氏にはまったく申し訳がない。今頃、しかも古本屋で。
 どうしてランボーがまた突然読みたくなったかというと、気紛れに三島由紀夫「太陽と鉄」を論じた一文を読んでいるうちに、「太陽と肉体」の詩人が懐かしくなったから。どちらも意識が膨らまなければならない時代には目立ってくる。時代はインターネット。しぶしぶでも、巨大化せざるをえないはず。もっとも実態はアベコベで、やってられねえよとばかりに無法な行動へと走る人が増えているのは、精神のせいなのかどうか。
 ところで、アルチュール・ランボーの翻訳といえば様々あるけど、とりあえず十代の僕は、鈴木信太郎、小林秀雄、堀口大学、そして粟津氏の旧訳を好み、中原中也はその天才ゆえの独断が誤訳すれすれではないのかとフランス語なんかちっともわからないのに敬遠していた。他にも読んだ。伝記作者や研究者の物まで含めたら、一体何種類のランボー詩を目にしたことになるんだろう。
 十代。僕はランボーになりたかった。
 するとランボーのように十五歳で天才となり二十歳で筆を折らねばならない。まあ、それは冗談にしても、大学を卒業する頃には少なくともそんなのは無理だと悟らざるをえない。当時の僕にはまだ書きたいことが幾らもあった。断筆なんて考えられない。
 その代わり、在学中、ランボーに関する文章をいっぱい書いた。それを読んだ或る先輩は、
 「おまえのランボーはただの不良少年みたいだ」
と言った。数年前再会するとその人は、
 「梶井基次郎なんて青少年の感性をそのまま述べてるにすぎん」
 「夏目漱石はただの気違い」
と放言する人になっていた。これで国語の教師なんだからなあ。高校で何を教えているんだろう。
 かくして、僕はまだ書いている。
 ランボーにはなれなかったけど、それについては別に不満でもない。

 

 
  

 近所の染井吉野が満開なので、河原に腰掛け、ドーナツを食った。ここには花見客なんか誰もいない。うまかった。
 「桜の樹の下には屍体が埋まっている」
 梶井基次郎の代表作といえば「檸檬」「冬の蠅」等だろうけど、一番有名なのは、たぶんこの言葉。
 さる国語教師は、これはたんなる少年期の感性、と述べた。某現代作家は、伝統に毒された中年もしくは病人の感性と論じた。なんにせよ、事はそれほど単純でない。
 もっとも、不安に遠い感性では、桜もチューリップも可憐で似たようなものなんだろうな。
 ともあれ、今年は花が早かった。雪まじりの花も好い。

 

 
  店じまい

 言葉を乱しているのは商売人だ、いや騙される消費者も同罪だ、という状況は、今や何処も同じらしいけど。
 ぶらぶら歩いていたら、店先に十数枚の張り紙が。いわく、
 「店内改装のため店じまいセール」
 あきれた。
 店じまいとは名ばかりのセールで、あちこち利益あげてきた結果、こんなことになる。店じまいとは閉店だろう。店内改装のためなら、改装セールが本当じゃないのか。
 JAROも所詮無力だ。

 

 
  クイズの答と当選者発表。

 前回のクイズの結果です。念のため、問題を再録します。

 次の1〜4にはそれぞれアイテムが三つずつあげられています。1〜4はお互い関係がないようですが、ある一つの共通の基準を設定することにより、それぞれから一つもしくは二つの関連あるアイテムを選べます。選ばれるアイテムがゼロもしくは三つすべてということはありえません。
 (一)その共通の基準とは何で、(二)選ばれるアイテムが一つだけなのは何番でしょう?

 1.金、銀、銅
 2.アルミニウム、ステンレス、ジュラルミン
 3.プラスティック、ビニール、ナイロン
 4.エメラルド、サファイア、オパール

 (一)の答は「リボンの騎士」でした。手塚治虫の漫画でテレビアニメにもなりましたよね。(二)は以下の通りです。

 1.金(ゴールドランド=フランツ王子の国)、銀(シルバーランド=主な舞台)
 2.ジュラルミン(大公)
 3.プラスティック(大公のバカ息子)、ナイロン(卿)
 4.サファィア(主人公)、オパール(サファイアの愛馬)

 ですから、選ばれるアイテムが一つだけなのは2番だけでした。
 サイト内では、「あ・はるふ・まんすりー・こめんと」の話題分類で前回を<漫画・美術>に含めるなどのヒントを与えましたが、お気付きだったでしょうか。
 応募メールには(一)を間違えたものは一つもありませんでしたが、(二)の正解はゼロ。それで迷いましたけど、ほぼ同時に届いた御二方を当選とします。前回、発表は到着をもって代えさせてもらいましたが、今回はたまたま二人ともハンドルネーム付きで送ってくれたので、発表してしまいましょう。一人目は「短歌大好き」という不眠姫さん。ただ、メールに記された住所には番地がないけど、これで届くのでしょうか。連絡がなければこのまま送付させてもらいます。二人目は「歌集など読んだことない」というIdiotさん。これをきっかけにしてください。
 約束通り、御二方には拙書をお送りいたします。外れた方はすみません。答以外のコメントを添えた人には、掲示板に返事を記しておきました。
 今後ともどうかよろしく。

 

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