あれはパスボールでしょ?
九月二十四日、甲子園球場における阪神VS巨人戦を午後11時過ぎまで観戦。 9時前に2位のヤクルトが中日に敗れ、その時点で巨人のセ・リーグ優勝はすでに決まっていたけど、試合は白熱し、延長12回裏、前田投手の暴投(ワイルドピッチ)で、阪神のサヨナラ勝ち。記録ではそうだけど、あれは阿部捕手の捕逸(パスボール)ではないでしょうか。後ろに逸らすほどの悪球じゃなかったような。草野球でも巧いキャッチャーなら捕れそうなボールに見えました。 ともあれ、おそらく今シーズン中、巨人最悪の試合のひとつ。守備の乱れ、犠打の失敗、残塁の山。むしろ「サイテー」と表記したいほど。 巨人ファンは喜びに水をさされ、阪神ファンは敵が墓穴を掘ってくれたおかげで、幻のサヨナラヒットに酔いきれず、アンチ巨人のみが爆笑とともに一年分の溜飲を下げたのではないでしょうか。まあ、阪神ファンって、ほとんどアンチ巨人とイコールなんだけど。
かくして、サヨナラ負けの直後、なだれ込んできた大勢の警備員が場内で警戒するなか、阪神快勝に湧く球場で、巨人軍監督の胴揚げ・優勝インタヴュー。テレビカメラは阪神応援団の中核であるライトスタンドや一塁側をいっさい映しださず、 「観客は誰も帰らず、巨人の優勝を讃えております」 とアナウンサーは解説してくれましたが、聞くところによると、一塁側の客は次々と家路へ向かい、ライトスタンドは「帰れ」等の罵声の嵐だったとか。 当然でしょうね。ああいう画面を作り上げて「自分達は嘘を伝えている」と自覚しないところが、テレビの最も悪いところ。あるいは、テレビ局にとってスポーツ中継は創作ドラマみたいなものなのかもしれない。ひょっとしたら、ニュース報道も。 もちろん、巨人優勝を讃える阪神ファンも居たには違いないけど、そうでないファンも大勢いるのが当たり前。これはどちらが善いとか悪いとかの問題じゃない。もし、悪いことがあるとすれば、四万人も五万人もの人間がそんな所で揃って同じ行動をとることが、一番ぶきみ。野球観戦は皇室行事ではありません。東京ドームで巨人以外のチームが優勝・胴揚げをする時も、讃える人がいれば、罵声をあげる人もいる。それが真っ当でしょう。 むしろ、そういう好対照な姿を率直に見せる方が善いと思うけどな。たとえば、9回裏、浜中の同点ホームラン直後、狂喜する阪神ファンと、静まり返る巨人ファンの大映しはなかなか見ごたえがあった。あれで良いんじゃないか。試合終了と同時に、全員の態度が友好的に豹変するというのも、気味が悪い。 人間にとって、本物の無礼講の場が必要なら、あそここそ、そうであるべきで、優勝祝勝会のビールかけも、だからこそ必要事項になります。あれは、365日24時間、礼儀正しい人の姿しか見たくない人には、理解できない光景かも。ただし、選手が無礼講やってるのに、客が全員揃って礼儀正しくしてなきゃならないのだとすれば、それは不快にもなるでしょうけど。
そこで、胴揚げ時の、あの異様な警備です。 負け試合でも胴揚げ・優勝インタヴューが要るのかどうかは、このさい脇に置きます。しかし、それでもやるなら、あれしかないのでしょう。 前回、甲子園での巨人の優勝時は、勝った方が優勝という状況での阪神惨敗だったため、試合終了とともに怒った阪神ファンが巨人の選手に殴り掛かったことで有名。それでも胴揚げをやりたいなら、物々しすぎる警備をひくほかない。 あれで観客席にまで大量の警備員が犇めき、威圧したら、まるで警察国家かファシズム社会でしょうしね。自由社会における自由の限界。放っておいたら、無秩序混乱必至だものな。 それでも、あのずらりと並んだ真っ黒な陰が、今の今まで選手達がプレイで魅せていたグラウンドに立っている映像の不快さに、 「だれかあそこへ "黒い制服の群れに向かって" 殴り込まねえかな」 と見ておりました。さすがにそんな阿呆はいませんでしたが。いたら思いきり嗤ってやったのに。 不快だ、僕も。
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