あ・はる・まんすりー・こめんと 2008年6月12日

 
  秋葉原通り魔事件

 今月、秋葉原で通り魔が、七人を殺害、合計十七人殺傷した事件は、外国人も多い場所だから、トップ級の扱いをした外国メディアもあった。肝腎の日本は事件当日テレビラジオのニュース情報は少なく、氾濫するケータイ&インターネット情報の方がずっとくわしい。翌日は新聞休刊日で、はりきっていたのはワイドショーだったとか 。
 容疑者が犯行へのプロセスを携帯サイトに逐一書き込んでいたから、一般人が現場を撮影した画像と映像ともども、テレビも新聞も電子情報からの引用・孫引きに満ちている。そういう現場をケイタイで撮影する人々の群れというものは、端で見ていて気持ち良いものではないけど、情報発信がいよいよマスメディア中心からケー タイ&ネットの時代へシフトしつつある以上、かつて殺人現場をライヴ中継したTVカメラマンの非人間性を、彼等、一般の通行人が共有することになるのも必然と考えられる。
 カメラというこの小さな機器が人をそこに導くのだろうか。
 いや、もちろん違う。きっかけは、そのカメラで何かを写したいと感じる、人間の内なる衝動だ。現代では写真と映画も立派な芸術ジャンルのひとつとして認められている。そう、「写す」という行為は、ひとつの創造活動なのだ。彼等の撮影した対象は、家族や友人ではない。観光地でスナップ写真を残すのとは、まったく別の 行為だ。彼等はプロのカメラマンの行為を模倣しているわけである。もしその活動になんらかの非人間性がまつわるのだとすれば、アマチュア作家の増加が社会にまたひとつの非人間性を蔓延させるのもやむをえない。
 しかし、そうした個人のモラルに矮小化させないで、全体からみればその喧騒もひとつの浄化作用と考えられないでもない。ああいう非日常的混乱をカメラのレンズ越しに眺めることは、自分をたちまち「観客席」に置くことで、日常感覚を呼び戻せる役には立つだろう。彼等の魂がその時のショックで、その非人間性に冒され、 創造の魔に捕らわれてしまったならば、今後が大変だろうけど、おそらくそうはならずに、彼等のほとんどにとってそれは一時の心の迷いで、それすらも平衡感覚を取り戻す方法になったのかも。

 そういうことを除いて、この事件そのものに特異なものを捜すとすれば、何があるだろう。
 強いて言えば、犯人個人の怒りが、直接的に彼をいらだたせていた両親や会社の同僚に向かわないで、秋葉原の通行人に向いた点だろうか。その心理的からくりはなかなか興味深いものがある。もし彼が狙った命が何処かの知事や市長だったら、先日襲われた長崎市長の件と大差がなくなってしまうのだから、そこにしか特異性はない。ともあれ、個人の怒りはその周辺の一人ないし数人の個人に向かうのが正常で、「だれでもよい」という不特定な人物に向かうのが異常と考えるのは、ずいぶん偏狭な思考ではないだろうか。いや、この犯人にしたところで、犯行の数日前に秋葉原に寄っていることからして、そういう体験が秋葉原の誰彼への殺意に結びついたのだとすれば、自分の目に入った誰かを狙っただけで、この犯人こそずいぶん「視野が狭い」ということになってしまうな。広ければ善いという問題でもないけどさ。
 それにしても、犯人本人としては綿密に計画を立てたつもりだったらしいけど、それはトラックで人に追突した後、ナイフで人を刺すというところまでで、犯行の後の逃走はまったく計画に入ってなかったらしい。それはいさぎよいというよりも、鈍いというか、想像力の欠如のようなものを感じる。そんな調子ではいくら想像しても、アクションのないドラマしか生み出せないだろう。手応えのない虚しさだけが残ったに違いない。
 トラックで人に追突して、ダガーナイフで人を刺して、そこにどんな手応えがあるというのか。警官に組み敷かれて路上に押さえつけられた方が、全身に手応えがあるだろう。ドラマはむしろそこで発生する。人間同士の衝突がある。でも、警官が一人の男を道の脇で組みしいているその映像は、まったくもってブザマだった。どうして現代は、これほど非日常的な犯罪でさえも、こんなに醜いのだろうね。

 
  ナイト・ソングを語る

 "Night Song = 夜の歌"なんて言葉があるのかどうか知らないけど、さまざまな単語を頭の中で組み合わせていたら、ふと思いついた。もっとも、「ナイト・ソング」とカタカナで表記したら、まるで「騎士の歌」だね。つまらん。
 そして、僕の歌を読むのは、朝よりも夜がお似合いかもしれないと、ふと思った。べつに他人に強制しようというのじゃなくて、お勧めとして。ナイト・ソング。

 

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