【縦書きがきちんと表示されない人の為に】
ノブまわり動かぬ扉 / その向こう / 誰とも知れず / 足音が去る


 自歌撰「ロール・アンド・クライ」より
 この歌が好きと言う人が多いのは不思議でしかたない。でも、見向きもしない人も多いのだろう。
 僕にはこの歌にはいささか苦い思いがある。上の句を作りあげた段階で(すでに下の句もほぼ頭にあったのだが)、このままでは行分けにならないと気付き、まったく一から書き改めたのだ。こんなことをしたのは、後にも先にもこれっきり。そのため一行で表記するよりずいぶん質の落ちる作になってしまった。今でも直すべきだったかどうかはわからない。
 読者は喜んで愛唱してくださって結構だけど、作者としては、これが生涯の最高傑作だなどと言われぬよう努力精進に思いを致させてくれる歌である。その割りに、なにに励んでいるのでもないのだが。


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